福田恒存語録

「日本への遺言―福田恒存語録」を久々に読む。気になったところを抜粋。

 

・人権亡者
自分が一端の近代人であるといふ自己欺瞞に酔ってゐるに過ぎない。
これも人権、人権と騒いでゐるうちに人格無しの人権亡者が輩出したお陰である。
基本的人権といふと如何にも近代的で聞こえがよいが、その基底に個人としての人格が無ければ、基本的といふ言葉は最低のといふ消極的観念に過ぎなくなる。
事実、基本的人権といふのはその意味に他ならないが、それを恰も鬼の首を取ったやうな気で御大層な積極的観念に誤訳して用ゐて来た為、人格無しの人権亡者が輩出したのである。

 

・言葉の誤用
意識の歪みは存在の歪みによつて決定される前に、まづ言葉の誤用から始まる。