姫の戦国

f:id:tppp:20141201151100j:plain

図書館で借りてきた。

今川氏親の正室で、今川義元の母である寿桂尼を主人公とした作品。

元々織田や北条に関心が強かったが、今川家には大して興味が無かったので読んでみようと思った。

読み終わって思ったことは、やっぱり今川はピンとこなかった。

・氏親の娘(寿桂尼の娘ではない)を北条氏康に嫁がせるが北条家に対し疑心暗鬼になる寿桂尼

・北条より武田が重要だと武田と同盟し、結果北条に攻撃くらって河東を取られる太原雪斎

・やっぱり信長にやられる今川義元

等々、どっか抜けている人々が登場する。

今川家は昨今再評価されているらしいが、正直ピンとこない。作中で度々「今川家の方が織田や北条より先に優れた政策を行っていた」といった書かれ方をしているが、実際戦国大名の戦能力は重要要素であり、戦に負けただけで大名の能力を全否定する事はできないが、戦に負けたことはやはり大きなマイナスだと思われる。

北条氏に対し『北条氏は他二氏(武田・今川のこと)に比べて、最も軍事第一主義である。民政手腕もかなりあるが、国のすべてが、出陣と防御優先に組織されている。』と書かれているが、それに対し今川義元桶狭間で信長に敗れたが、それでも「民政>軍事」こそが戦国大名としては重要であり、今川氏は織田や北条よりも優れていたと言いたいのだろうか。

何にせよどこか引っかかる書かれ方がある本だった。

あと、私は政治家は実際何を成し遂げたかで評価する傾向にあり、単に先見の明や進歩性というだけでは高く評価しないのも、この小説の今川家の評価に関わっている。