秋葉流の考察1

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○最初に
 うしおととら(作者・藤田和日郎)は私の大好きな漫画です。今はアニメも放映しており、ネットの評判ではなかなか好評ということらしいです。
 だからという訳ではないですが、今回はうしおととらをネタにした記事を書いてみたいと思います。
 繰り返しますがうしおととらは大好きな作品です。何と言ってもキャラクターが魅力的です。その中で今回は秋葉流を取り上げてみたいと思います。
 私にとって白面の者側に付いた流ととらの戦いは作中でも特に心に残る戦いでした。読んでいてワクワクするかと言えばそうではありませんが、心に残るという点では一番でした。
 以下私にとって一番気になるキャラの秋葉流について考えた事を書いてみたいと思います。

※Aー主に流について、Bー主にとらについて、Cー主にうしおについて

 

○A-1、流の虚無感
 うしおととらは、流とは北海道で出会いました。飄々として気の良い印象がキャラクターでした。
 しかし流の内面は表面ほどカラッとはしておらず、もっとドロドロとしたものがありました。
 流の人生観については以下の言葉がよくあらわしています。
「人生はヤツを楽しんじゃいけねのさ」
「法力僧やってりゃ、このつまんねー人生もスグに終わるだろうと思ってたのさ」
「オレァ心のどこかで、ずーと見てみたいシーンがあった(中略)白面の者が復活して、この日本をメチャメチャにしてるシーンよ」
 これらの言葉から分かる通り、流は人生について希望を持っていません。虚無感に捕らわれています。
 そんな流に大きな転機が訪れました。うしおととらと出会った事です。

 

○B-1、とらに敗北
 とらと北海道で会った時、ただのばけものと同じと考え滅ぼそうとしました。そしてとらと真正面から戦いとらに敗北しました。
 これは流にとって強い衝撃でした。その一方で余裕もありました。
 とらとの再戦の時、
「オレは何でもできちまうんだよ」
「驚いたなァ、いつも勝ってきたオレが完全に負けちまったんだから」(余裕の表情をしながら)
 と言っています。
 流は一度はとらと負けたものの、『本気を出してなかっただけ』『本気を出せば勝てる』と考えていました。

 

○A-2、流の世界観
 人生に希望を持っていない流ですがプライドが高い人間でした。自分は天才と思い何でも出来、それに比べ周囲の人間はつまらない存在だと思っていました。そういう人たちを見下し、社会全体を憎悪するようになっていました。
「ほかのヤツらがどんなに努力しようと、いつも勝ってるのはオレだった」

 

○C-1、うしおに敗北
 流にとってうしおとの出会いはある意味とら以上の衝撃を与えました。
 うしおについては、「甘ちゃんの目」とつまらないもののように吐き捨ててます。
 しかしこれは嘘であり、負け惜しみでした。
 うしおは流にとって、
「正義の心の持ち主の立派な男」でした。
 それは「天才」-「たくさんいる雑魚」という単純な世界観しか持っていなかった流に衝撃を与えました。
 それ以降流は、うしおとという存在に圧倒され続けました。

「男って、一生のうちになん人の女の子の涙を、とめてやれるんだろう?」
 といううしおの言葉に、
「おめえならきっと、望んだ数だけな」
 と、認めざる得ませんでした。

 うしおと出会ってから流は自分のプライドを隠したままうしおと接し続けました。
 最初は単に「良い兄ちゃん」を演じているだけでしたが、うしおと接すれば接するほど流は偽者の背伸びした「良い兄ちゃん」をし続けるはめになりました。それは本当の自分が「少し才能がある事を鼻にかけていただけ」「格下の存在に粋がっていただけ」という事を実感するはめになりました。

 立派な男(うしお)>>>越えられない壁>>>天才(流)

 うしおと流の関係で分かりづらいのは、とらとは直接やりあって敗北したけれど、自分の人間としてのくだらなさに気づいた流は、うしおという超えられない壁にぶつかり戦わずして敗北したという点です。

 流は天才を自負し実力をもって相手を倒し見下す男のはずでした。
 とらとの戦いでうしおについて、
「オレの正体を知ろうともしない。表面だけのコトバでだまされてるアホウ」
 と言っていますが、とらと堂々と正面から戦っている男が、表面で相手を騙して悦に入っているのは一貫性が有りませんでした。その点に関してはとらに見破られてしまいました。うしおに対する「甘ちゃんの目」「だまされてるアホウ」という言葉は、虚勢以外の何ものでもありませんでした。 

(2に続く)